浅野直人税理士事務所│あさの会計

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一般事業所の経営支援

少人数私募債について(一般事業所向け)

こんにちは、豊中の税理士・行政書士の浅野です。
先日お客さまに私募債の発行について提案したところ、
前に進めようか、というお話になりました。現預金を経営者が持っているけど、運用方法がないのでそのまま持っているようなケースは、会社に貸し付けてそこから金利を貰うと、資産運用の一つになりますし、事業計画を立てるいいきっかけにもなりますよ(^^)

特徴

  • 少人数私募債とは、中小企業が直接金融によって資金調達ができる方法。社債。※直接金融:株式、債券※間接金融:金融機関からの借入
  • 毎月の返済がない
  • 信託銀行などによる管理、有価証券報告書などの提出義務なし。
  • 勧誘対象 ~50名まで
    縁故者からの協力
    例えば・・・社長、役員、従業員、株主、得意先、仕入先、社長の知人、友人…
    ⇒会社とかかわりがある人の協力

メリット

  • 担保不要(信頼関係による社債の引き受け)
  • 償還期間までは自由に資金を使える(月々の返済が不要)
  • 償還期間を決められる(2~7年が一般)
  • 社債利息は自由に決められる(一括返済なので、実質金利は低い)
  • 社債の利息は損金扱い
  • 経営意識の向上
    ⇒縁故者の信頼を裏切ることができない
  • 金融機関からの評価
  • 自治体からの補助金の可能性あり
    ⇒各市町村に要確認

社債発行手続に、費用発生なし
⇒発行には当然諸費用がかかります

デメリット

  • 償還時の資金負担が大きい
    ⇒元金の一括返済
  • 計画的な返済資金のストックが必要
    ⇒デフォルトのリスク
  • 結果に対するプレッシャーが大きい
    ⇒社債権者への経営情報の開示



ポイント

1:償還期日の元金返済の見込みがあるか?
発行してから償還期間(2年~)を経過すると、元金を一括で返済。
⇒毎期のキャッシュフローをプラスへ
目安:社債を、発行した金額を償還期間で割った金額以上のキャッシュフロー
1000万円発行、償還期間5年なら
1000万円÷5年=200万円

2:積極的な会社の情報開示ができるかどうか?
できる限りの情報開示
⇒事業計画・実績報告をある程度の頻度(四半期ごとが目安)で行う(べき)。
社債の資金使途の説明


発行条件など

・法人
・勧誘対象が50名未満
 (50名以上は金融商品取引上の公募)
社債総額を1口金額で割った口数が50未満
少人数私募債に譲渡制限を設定する
*取締役会の決議なしで譲渡不可
*4口を2口だけ譲渡、なども不可
⇒このような制限を募集要項に記載する
発行総額は1億円未満に。


発行の流れ

1.募集要項の作成
発行条件は?
 発行総額、1口の金額、口数、社債利息の利率、払込期日、償還期間...
※金利は、金融機関の預金金利より高い金利(通常2~5% 3%前後が目安)
※償還期間 運転資金2~3年、設備資金3~6年

2.取締役会での決議
⇒ない場合は、臨時株主総会の決議
  議事録は必ず作成「多額の借財」
発行の流れ2
社債発行趣意書、事業計画書の作成
3.社債申込証拠金預かり証の発行
※社債券の発行はデメリットが多く、また義務付けられていないので、お勧めしない
  専門業者の印刷、印紙税…
4.社債原簿の作成と記録⇒会社法上の義務

発行後の流れ

・社債利息の支払(募集要項に従う)
年に1回 か 半年に1回?
⇒税金を差引く(源泉15%、住民税5%)
 翌月10日までに納付
 (住民税は事前に営業所設置等届書提出)

 


まとめ

・資金調達を金融機関に頼らない方法です。
・行政とのやり取りが不要のため、その分だけ弾力的な対応が可能です。
⇒ただし、必要な手順はありますし、管理は徹底的に行う必要があります。
・社長自身の信用を生かせる調達方法です。

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