2つの医療法人の理事長になることはできるのか?
分院展開などを検討されている先生にとっては、次は別の医療法人で展開していこうか、
とお考えの先生もいらっしゃることと思います。
今回は2つの医療法人の理事長になることができるのか?ということについて検討したいと思います。
回答
医療法における、理事長になれない者の規定及び医療法人運営管理指導要綱には、
兼務が無理であるとは記載がありませんので、原則的には可能であると考えます。
(医療法人は営利法人ではありませんので営利法人との兼務禁止規定も対象とならない)
ただし、各都道府県単位で法人設立の手引きがあり、行政の考え方はそちらを中心的に考えます。
兵庫県の場合は「ほかの医療法人の代表者が他の医療法人の代表者を兼務してはならない」という記載はありません。
また、厚生労働省が出している「特定」医療法人FAQにおきましても、ある代表者が2法人から役員報酬をもらってもいいでしょうか??という質問に対して、「差し支えない」と回答している前提は、2法人の理事長になることは可能であると解釈できます(ただ、その回答の補足で、非常勤の代表理事は望ましくない、とも記載しています。)www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/faq.pdf
一方で、下記の長崎県のように、原則として認めないが、例外としては可能であると考えている都道府県もあります。
医療法人の理事長は、「医療法人の業務を執行し」、「医療法人を代表し、医療法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」と規定されており、医療法人においては理事長だけが代表権を持っています(医療法第46条の6の2及び第46条の7の2が準用する一般社団財団法第91条)。非常勤の理事長について、医療法及び運営管理指導要綱に明確な定めはありませんが、医療法人において理事長だけが代表権を持っていることからも、非常勤の理事長が法人の代表として責務を果たせるか疑問があるところです。このことから 県では非常勤の理事長を原則として認めていません。
ただし、理事長が非常勤であることについて、特別の理由・必然性があり、かつ、法人代表として責務を果たせる方法が提示可能である場合は個別の協議に応じます。(長崎県のHPより抜粋)
上記を踏まえて「特別の理由」「必然性」を十分に検討していく必要がありますね。