内容について
・個人事業者の事業承継を促進するため
・事業資産の承継に係る「相続税」「贈与税」を100%納税猶予
・10年間限定(2019年1月1日~2028年12月31日)の間の「相続」「贈与」
・土地建物の他、医療用機器も対象
・2019年度~2023年度の5年間に「都道府県」にて「経営承継円滑化法」の事前認定を受ける必要
・小規模宅地との併用不可
・事業廃止や譲渡の場合は納税復活
診療所の場合にはどういったケースがフィットするか
総論
診療所経営は場所の選択が非常に大切です。
現診療所が、前院長が開院した当時と現在の状況では
周囲の状況や他院の開業状況が相当変化していると考えられます。
ましてや親世代の診療科目と子世代の診療科目が違う場合には
安易に事業承継税制などを使わない方がよいとも思えます。
以下には
ケース1 自己所有の自宅兼診療所の場合
この場合には診療所部分については個人版事業承継税制は活用可能となりますので
積極的に検討したいところです。
自宅部分は、ご両親がお住まいで、お子様世代はお近くから通勤、
という形になろうかと思います。
注意すべきは、以下のようなところでしょうか。
- お子様世代がお住いの頃に建築されている(つまり多人数が住む前提になっている)
- 現状はご両親世代がお住まいで、広すぎる
- 自宅と診療所ともに、経年なりの建物の老朽化がある
- お子様世代は親世代とは別に住居を持ちたい希望がある
こういったケースでは、
- 引継ぎ前に現自宅兼診療所を、建替えて診療所のみもしくはお子様世代の自宅兼診療所にする
といったことを検討しながら、個人版事業承継税制を検討していくという事が考えられます。
ケース2 自己所有の診療所の場合
この場合にも積極的に個人版事業承継税制を活用すべきと考えます。
前述しましたが、親世代の開業当初との状況の変化具合、
子世代の診療科目との兼ね合いを十分に検討する必要があると考えます。
ケース3 賃借物件の診療所の場合
子世代の診療科目によっては、違う場所の選択を一番に検討しつつ、
患者さんの状況、地域の特性を考えても引き継ぐことが優先され、かつ、
医療機器で高いものを導入されている場合には、個人版事業承継税制を検討してもよいのかもしれません。
まとめ
相続税・贈与税が100%猶予されるということで、
活用が期待されますが、
半面、子世代の将来を決めてしまう事にもなります。
十分に検討を重ねて利用していきましょう。