役員報酬の決定について
(ここでは代表取締役と家族の取締役がいる小さい規模の会社を前提としています。)
役員報酬を決定するに際して、
まずは「この一年の見通し」を立てる必要があります。
そして、最終的に損益予測に落とし込み、予測される利益の中から役員報酬を決定します。
損益予測に役員報酬を加味した後に、算出された今期の利益の予測は、
- 利益予測をプラスにする
- 損益トントンの水準にする
- 損失予測にする
の3パターンが考えられます。
利益予測をプラスにする
毎期計画的に利益の計上をすることは会社の継続的な発展に欠かせないものです。
逆に言いますと、第三者が会社の数値を見る可能性がある場合には、利益の着地をプラスにする方向にしておきたい。
法人成りの場合には、個人時代に金融機関から借り入れがあり、その返済をしていく場合には、決算書を金融機関に提出する必要があります。
そういった場合には、損益トントンやマイナスよりも、利益を出している方が金融機関からの評価は高いものです。
そういった観点を重視する場合には利益がプラスになる水準で役員報酬を設定します。
損益トントンの水準にする
良くあるパターンです。
起業直後ですので、同損益がぶれるのか読みにくい状況がありますので、損益トントンにするケースです。
また、法人税、所得税、社会保険料などを勘案した場合に「全体的な節税」を考慮し、損益トントンというラインの役員報酬の設定をするケースは非常に多いです。
損失予測にする
税務調査を極度に嫌がる方に多いですね。
利益を出していないと税務調査は少ない、、、と考えておられる方です。
これは中々一概にマイナスだから税務調査は少ないとも言い切れないのですが・・・
長期にわたって考察すると、どうしてもこういった損益状況が長期にわたると役員借入金が増加します。
そうすると、この役員借入金は役員からすると「貸付金」すなわち相続財産に該当します。
昔から事業しておられる会社様に多いのは「会計事務所から役員報酬はこうするように」という指示のもと役員報酬を設定し、結果役員報酬が過大であるにもかかわらず、会計事務所側が法人の決算はマイナスで節税対策などをする必要がなく、非常に楽に決算を処理していた、というケースがあります。
古い事務所の先生に多いパターンです。ですがよくあります。
決算書の役員借入金が多い会社、巷には非常に多いです。
今後はこうした方がよいように思います
色々な役員報酬の決定方法があると思いますが、従業員を今後採用していく場合に、会社の数値を開示していく場面が出てきます。
そういった場合にも役員報酬の決定プロセスについて、テキトウに決めるのではなく、一定の決まり事を作っておくというのは非常に大切です。
その決まりごとの範囲内で毎期役員報酬を決定していくということが肝要ではないでしょうか。
例えば、設立初年度ではない場合には、
「当期純利益+役員報酬」の**%
「前期当期純利益+支払利息+法人税等+減価償却費」の**%
などが考えられます。
もちろん毎期損益計画を立てておられる場合には、その数値を上記の算式に当てはめるというところがよいと思います。
方針を決めておくと、毎期の悩み事が一つ減りますよね。