浅野直人税理士事務所│あさの会計

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出資持分なし医療法人への移行

③それぞれの法人類型でのシミュレーションとメリット・デメリットの検討

前回までで、担当される方と問題意識の共有ができました。

今回は、

③それぞれの法人類型でのシミュレーションとメリット・デメリットの検討
です

法人類型ですが、移行する候補としては、次のような選択が考えられます。

  • 社会医療法人
  • 特定医療法人
  • 基金拠出型医療法人
  • その他の持分なし医療法人

③と④が持分なし医療法人へ移行する場合の主な受け皿です。
(今回のこのブログも③と④を想定して記述してまいります。)

【社会医療法人】

概要

公益性の高い医療に取り組む、厚生労働省が認定した医療法人。

メリット

  1. 医療保険業から生ずる所得については非課税
  2. 救急医療等確保事業の用に供する不動産については、固定資産税・不動産取得税が非課税
  3. 社会医療法人債を発行可能
  4. 相続税の負担、退社時の持分払い戻しのリスクがなくなる
  5. 一定の収益事業の経営可能

デメリット

  1. 同族での経営が難しい
  2. 救急医療体制を提供し続ける必要がある。
  3. 持分を放棄しないといけない。
  4. 認定取り消しされると、過年度の所得に対して一度に法人税が課税される。
  5. 移行時の課税はない
  6. 社保診療報酬が全収入の80%以上
  7. 自費患者に対する請求が社保と同一
  8. 医業収入が医業費用の150%以内
  9. 役員に対する報酬等の支給基準の明示
  10. 医療計画への記載

【特定医療法人】

概要

租税特別措置法に基づく医療法人で、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき国税庁長官の承認を受けたもの。

メリット

  1. 税率は軽減税率
  2. 相続税の負担、退社時の持分払い戻しのリスクがなくなる
  3. 移行時の課税はない

デメリット

  1. 理事の給料総額は年間3600万円
  2. 同族経営はできない
  3. 社保診療等が総医業収益の80%超が要件で、自費診療を低減させる必要がある、等数値的な要件がある
  4. 病床の最低数が定められている
  5. 医療施設ごとの差額ベッド割合が30%以下等
  6. 持分を放棄しないといけない
  7. 自費患者に対する請求を社保と同一に

【基金拠出型医療法人、その他の持分なし医療法人】

概要

(持分なし医療法人の「基金あり」が基金拠出型医療法人なのでここでは一緒に説明します。)現状、医療法人を新規設立するとこちらの法人類型となります。H29年税制改正で改定になりますが、この執筆をしている平成29年3月29日現在ではまだ法令がでておりませんので、税制改正大綱でわかったものだけを記述しています。

メリット

  1. 移行時の課税はない
  2. 非同族要件がない
  3. 医療計画への記載などが不要となった
  4. 理事6人、監事2人以上という要件がなくなった
  5. 退社時の払い戻しリスクと相続時の課税リスクを回避できる

デメリット

  1. 要件は多少あり、①法人関係者に利益供与しない事②役員報酬について不当に高額にならないよう定めている③社保診療が全体の80%以上④その他、となっている
  2. 持分を放棄しないといけない

といったところでしょうか。
細かい要件などはメリットデメリットとも言えない場合もあり、
記載しておりませんので、ご容赦ください。

 

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