浅野直人税理士事務所│あさの会計

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診療所の節税

節税商品として各生命保険会社がだしている全損のものが2月14日で停止されるようです。

2017年に日本生命が発売したプラチナフェニックス。
代理店の方々がものすごい営業攻勢で販売してましたね。

開業医の先生方や経営者の方もかなりおススメされたのではないでしょうか??

「こんな商品、絶対おかしいやん」というような内容でしたが、
一部の方にとってはものすごく魅力に感じられるようで。。。

その後、各社も同じ内容の商品を、雨後の筍のように開発しました。
昨日の報道でようやく見直しがなされるとのこと。

  • 返戻率が50%を超える
  • 法人向け

について14日で停止することになったようです。

生命保険各社へ国税庁から節税商品の税務の見直し案の提示

ところで保険商品が節税に繋がる、というのは保険会社さんが宣伝されているので間違いないのでしょうが、
本当でしょうか?

私は次のように考えています。

  1. 保険商品は保険料支払いがどの程度資金繰りにインパクトあるのか理解しておく必要がある。
  2. 解約した時の課税対策がしっかりしていないと最終的に節税にならない

1、保険料支払いがどの程度資金繰りにインパクトがあるのか

保険料を支払うときはもちろん当該決算期における利益額がたくさん出ているので
「納税時期に支払いをしたくない」
という気持ちが先行して節税商品を契約します。

これ、決算期末に次期以降の資金繰りを全く考えずに(いや、多少考えてるとは思いますが)
加入すると、次期以降、かなりしんどいことになります。

保険は毎年支払(概ね決算対策で加入される場合には年払い)がありますので、
今年は払えてもその次の年が難しくなったりします。

そうすると、一部解約、などになると返戻率が低いタイミングで解約という事になってしまいます。
これが一番もったいなくって、保険会社が儲かるポイントです。

2、全損商品の解約時の節税を考えておかないといけない

保険会社の設計書を見ると、
・単純返戻率
・実質返戻率
の記載があり、「単純返戻率は80%くらいですが、実質返戻率は120%近くなりますよ!」
という説明がなされると思います。
この実質返戻率が120%という数字は嘘ではないのですが、
「解約時に課税がなされなければ」という条件付きなのです。
支払時に全額損金になっていると、当然解約時は全額「益金」になるわけです。

そうすると、解約時に解約金に”ぶつける”経費になる「何か」がないと、実質返戻率は数字が全く異なるのです。

概ね、弊社では

  • 役員退職金を支給するタイミング
  • 不動産の改修(維持するたものもの)

などのタイミングであれば、おススメできるのではありますが、
そうでないタイミングもしくは、全く何も考えていない状態ですと

「解約時に課税」されて、そうなると解約金は結構な金額になるので
税率も高くなってしまう、という最悪の状況になりかねないのです。

まとめ

暫くは全損保険は販売停止になるでしょう。

長期傷害保険、がん保険、プラチナフェニックスタイプと、これまでも
全損タイプの保険については国税庁とのいたちごっこが続くとは思いますが、
納税者側でしっかり知識を持って対応したいところですね。

大量の保険に加入していて資金繰りが悪くなりがちな診療所(クリニック)の経営改善などはこちら

2019年2月20日追記
情報が入った限りで各社の見解をまとめてみました。変更などあると考えますので詳しくはご担当者様に必ず確認してください。

・ネオファースト生命→停止意向。
・第一生命→停止意向
・FWD富士生命→不明
・エヌエヌ生命→継続?
・明治安田生命→停止意向
・アクサ生命→継続?
・オリックス生命→継続?
・三井住友海上あいおい生命→継続?
・東京海上日動あんしん生命→停止意向
・ソニー生命→停止意向
・日本生命→停止意向
・マニュライフ生命→暫く販売するものの4月末以降は停止の方向
・メットライフ生命→停止意向
・大同生命→2月末で停止
・プルデンシャル→全損が2月一杯

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