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医療法務

新型コロナウイルス感染症の予防接種を職域接種する場合の手続き

厚生労働省より2021年(令和3年)6月8日に
職域接種に関するお知らせ
がアップされています。

想定している大企業の場合には人手もあり、産業医もいたり、
なんなら自社(健保)などで診療所を保有している場合もありますが、
例えば同業者組合などの場合にはマンパワー不足、
一体どうしたらよいのか、というようなお話が医師会に舞い込んできます。

とてもややこしいのではありますが、『手続き面』で要注意なポイントを少し載せておきます。

手引きにおいて記載もありますが、
・契約主体は「医療機関」
・実施方法は3パターン想定

  1. 企業内診療所を活用(既に医療機関の開設届届け出済み)
  2. 外部機関が出張して実施
  3. 外部機関に出向いて実施

注意すべきは2の場合です。
2の外部機関が出張して実施する場合にも2パターン想定しています。
①医療機関に委託する場合。この場合に注意すべきなのは以下となります。

  • 医療法に基づく巡回健診の届出が必要⇒豊中市はこちら 神戸市はこちら
  • 消費税について。これは、3の場合もそうですが、当該医療機関の課税売上高が大幅にアップしてしまいます。委託料が2070円(税抜き)。想定している接種人数が1000人×2回ですので、2070円×1.1×1000×2回=4,554,000円は少なくとも税込売り上げがアップしてしまいます。
    特に元々課税売上が1000万未満程度の医療機関の場合、合算して1000万円超になりますと、2年後に課税事業所に該当してしまう結果になりますので注意をしましょう。

②個人の医師を『雇用』(手引き上の表現ですが、恐らく、個人の医師に依頼してその医師に短期的に『開業』してもらうイメージ)

  • 医療機関の開設届が必要となります。豊中市はこちら 神戸市はこちら
  • 管理者については医師は1か所の医療機関が原則ですが、今回は以下の文章が出ていますので、大丈夫なようです。

・ 現に運営している病院又は診療所の管理者が、地域におけるコロナワクチンの迅速な接種体制の確保のために設置する診療所を管理する場合
には、医療法施行規則(昭和 23 年省令第 50 号。以下「則」という。)第9条第4項第2号で定める「その他都道府県知事が適当と認めた場合」
に該当し、法第 12 条第2項に規定する都道府県知事等の許可を行うことができること。また、この場合において、管理者がその管理する医療機
関及び地域におけるコロナワクチンの迅速な接種体制の確保のために設置する診療所の運営に支障を来すことなく、医療の安全が十分確保され
ることを都道府県知事等が確認した上で、法第 12 条第2項に規定する許可は、事後の適切な時期に行うこととして差し支えないこと。

新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの迅速な接種のための体制確保に係る医療法上の臨時的な取扱いについて(その2)
厚生労働省医政局総務課事務連絡令和3年2月1日

 

医療法第12条第2項は管理者が2か所いけるとして、認められる例ですが、非常にレアです。

第十二条 病院、診療所又は助産所の開設者が、病院、診療所又は助産所の管理者となることができる者である場合は、自らその病院、診療所又は助産所を管理しなければならない。ただし、病院、診療所又は助産所の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合は、他の者にこれを管理させることができる。
2 病院、診療所又は助産所を管理する医師、歯科医師又は助産師は、次の各号のいずれかに該当するものとしてその病院、診療所又は助産所の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合を除くほか、他の病院、診療所又は助産所を管理しない者でなければならない
一 医師の確保を特に図るべき区域内に開設する診療所を管理しようとする場合
二 介護老人保健施設その他の厚生労働省令で定める施設に開設する診療所を管理しようとする場合
三 事業所等に従業員等を対象として開設される診療所を管理しようとする場合
四 地域における休日又は夜間の第三十条の三第一項に規定する医療提供体制の確保のために開設される診療所を管理しようとする場合
五 その他厚生労働省令で定める場合
 
スピード感が大切になる今回のケースですが、医療機関が丸投げで受託する場合、消費税で問題が生じる可能性があります。

そこは

開設者=企業(非医師開設)、管理者=医師(二か所目の特例として)
で保健所や都道府県と調整しながら、ということになるのでしょうか。

新型コロナウイルスで打撃を受けている観光組合さんや、地域の飲食店を応援しておられる商工会さんなどは
こういった形でスピーディに職域接種対応してあげてほしいです。
 

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